スマホで勉強管理のアプリは、ついSNSを見ちゃうのでは? 親は知らない、スマホとの上手な付き合い方【後編】

2025/08/13

■話題・トレンド

受験生にとって日常的な悩みの一つは、スマホとの付き合い方です。多くの大学受験生が利用している学習管理アプリ「Studyplus」を提供するスタディプラスの廣瀬高志代表に、受験期のスマホとの上手な付き合い方などを聞きました。(聞き手=朝日新聞「Thinkキャンパス」平岡妙子編集長、写真=スタディプラス提供)

>>【前編を読む】東大トップ合格した先輩の「勉強記録ノート」が原点 慶應大で起業、100万人が使う学習管理アプリを開発

スマホ利用の「自制心」も育てる

――「Studyplus」はどのようなアプリでしょうか。

勉強時間、勉強量、勉強内容などを、教科別に記録できるスマートフォン向けアプリです。それらは自動的に月、週、日ごとの棒グラフや円グラフとして「何を」「どのくらい勉強したか」を可視化できるようになっています。また、SNS機能では志望校が同じ利用者同士で交流したり、友達同士で励まし合ったりすることもできます。

記録した勉強時間が教材別や教科別に自動的にグラフ化される(図=スタディプラス提供)

――受験期のスマホとの付き合い方は、親にとっても悩みの種です。このアプリはその問題をどう解決していますか。

「Studyplus」は勉強する人が集まる場所です。できることも限られていて、無限に時間を費やしてしまうようなアプリではありません。もっと言えば、このアプリでスマホ利用への自制心が育まれて、勉強に打ち込んでいるケースも少なくないようです。利用者からは「自分がどのぐらいの期間でどれだけ勉強したのかが一目で分かるので、やる気が出ます」「グラフも出るので継続するのが楽しい」などの声が日々届いています。

好評なのが、教材ごとの学習時間を計測して記録できる「ストップウォッチ機能」で、これを使って頑張っているという声もよく聞きます。ストップウォッチで勉強時間を計っている時に、ほかのSNSなどを開くわけにはいきませんから、その点でも有効だと思います。

――アプリを使うことで、逆にスマホを自制できるということですね。

「勉強に集中できて、希望の大学に合格しました」という報告はとてもうれしいもので、むしろこちらがお礼を言いたい気持ちになりますね。こうした声は、勉強を続ける後輩たちにとっても励みになるでしょう。先輩受験生や仲間たちのちょっとしたコメントが、アプリでのさまざまな好循環を生んでいます。

――受験生にとって、同じ目標を持つ人のリアルな声は大きな力になるのでしょうか。

そうですね。その点では、アプリ内の「達成報告」という掲示板のような機能も効果があると感じています。自分の志望校に実際に合格した先輩の勉強法や学習時間、使っていた教材などが詳しく見られるので、参考になるのではないでしょうか。それらの情報を載せている先輩にメッセージを送って、さらに詳しいアドバイスを受ける利用者もいるようです。

――「Studyplus」は今後、どのような展開をしていくのでしょうか。

塾や学校の先生が生徒の学習状況を把握できる「Studyplus for School」というサービスを展開しています。これまでは学習の継続を最大の課題として取り組んできましたが、次の課題は志望校選びにあると思っています。学部や入試方式の多様化で、進路選択や決定も難しくなっていますよね。

実際、弊社が大学受験をすでに終えている高校3年生・大学生ユーザーに2025年3月に実施した「進路選択に関する調査」でも、86.5%が大学受験時の進路選びで迷ったことがあったと回答しました。またその課題として「受験対策や勉強方法の不安」「経済的な負担(学費、生活費など)」に次いで「入試制度や選考基準の複雑さ」「学部・学科の選択肢が複雑」を選んだ人が多くいました。

(グラフ=スタディプラス提供)

「各大学の魅力や差がよくわからない」「選べないから、何となく偏差値で決めるしかない」という悩みもよく聞きます。だからこそStudyplusでは、この課題にも注力していきたいと考え、ユーザーが志望校や学部・学科を登録できる機能を追加したところです。

先ほどのアンケートでも、大学選びの際にもっと欲しかったサポートとして「詳細な大学・学部情報の提供」を選んだ人が半数以上で最多でした。新機能では、過去問でおなじみの「赤本」シリーズと連携したコンテンツを用意しました。今後は入試日程や受験方式など、受験スケジュールの管理ができる機能も提供していきたいと考えています。

(グラフ=スタディプラス提供)

受験は学ぶ力をつけるトレーニング

――受験生の保護者にメッセージをお願いします。

子どもがスマホを見ていると、遊んでいないかと気になってしまう方もいるかもしれません。しかし、まったくスマホを使わせないというのは、あまり現実的な解決法ではないと思います。すべては使い方次第なので、有意義な使いこなし方を親子で話し合って、適切に導いてあげてほしいですね

学習は、測定なくして改善はありません。自分で効率的に学習を測定できるのは、スマホという便利なツールがあるおかげです。「Studyplus」利用者の声を見ると、「スマホを開いた時に誘惑されそうなアプリは消した」「受験期はSNS断ちをする」「ホーム画面に表示するのはスタプラのみ」など、工夫して使いこなしているユーザーが多くいるようです。

――受験生にもメッセージをお願いします。

不確実性が高く、変化の大きい社会に、不安も抱いていると思います。でもだからこそ、学び続け、変化し続けることが大切だと伝えたい。学習する力は人生のベースになるもので、受験はその力をつけるためのトレーニングでもあります。受験勉強で覚えたことが直接役に立たなくても、そのプロセスで得た力は、必ず人生の役に立ちます。一緒に最後まで頑張りましょう。

>>【前編を読む】東大トップ合格した先輩の「勉強記録ノート」が原点 慶應大で起業、100万人が使う学習管理アプリを開発

(文=鈴木絢子)

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記録した勉強時間が教材別や教科別に自動的にグラフ化される(図=スタディプラス提供)
記録した勉強時間が教材別や教科別に自動的にグラフ化される(図=スタディプラス提供)

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