■特集:合格するための受験生活
大学生248人へアンケートを行ったところ、大学受験の勉強とスマホ使用の両立に苦労した人が約6割いることがわかりました。しかし、スマホは使い方次第では受験勉強の味方にもなってくれます。受験期に工夫したスマホの使い方について、教えてもらいました。(写真=Getty Images)
受験生の半数がSNSを制限
学習管理アプリ「Studyplus」の運営会社スタディプラスの協力で、2025年3月に大学生ユーザー248人にアンケートしたところ、大学受験期に「スマホと勉強の両立に苦労した」という回答が63.7%。勉強のために「スマホを制限した」という人も60.9%いることがわかりました。
制限したものについては、全体のほぼ半数、何らかの制限をした人に限ると83%にあたる126人が、「SNS」の使用を制限したと回答(複数回答可)。「動画の閲覧」「ゲーム」についてはそれぞれ、全体の3割ほどで、逆に「制限しなかった」という人も約4割いました。

では、どうやって制限したのでしょうか。「制限」といっても人によってさまざまな工夫をこらしたようです。
・スマホを解約して使えないようにした(早稲田大学2年)
・部活を引退してからスマホを押し入れに封印した(神戸大学3年)
・親にスマホを仕事場に持って行ってもらった(明石工業高等専門学校5年)
・タイムロッキングコンテナ(タイマー式のカギをかけてスマホの使いすぎを防止するアイテム)を購入した(龍谷大学2年)
・アプリを削除して、スマホをつまらない「ただの板」にした(國學院大学1年)
・朝起きてLINEなどのメッセージを確認したら、夜ご飯までスマホの電源をオフにした(法政大学3年)
・スクリーンタイムを設定し、親でないと解除できないようにした(電気通信大学1年)
・がっつりゲームするのは受験が終わってからにすると、自分に言い聞かせるかのように周囲にも言っていた(花園大学3年)
・「ゲームは共通テストが終わるまでしない」というルールを設けた(埼玉県立大学1年)
・Instagramのアプリを消した。Xも受験の情報が入ってくるので消した(武蔵大学1年)
・時間制限を設けて、一定時間が過ぎたら完全に電源を切った(明治大学4年)
・YouTubeなどを見てしまうので、SNSを見る曜日を決めた(北海道大学3年)
・月々に使えるギガが少ない契約だったので、漫画アプリにはタイマーをかけ、電車で移動している時のみ使用できるようにした(上智大学2年)
・どうしてもSNSを見てしまうので、夕方5時までは通知が来ないようにした(大阪教育大学3年)
・利用時間をアプリごとに検出して制限できる「StayFree」というアプリを使って、スマホを触るクセをなくした(立教大学1年)
・SNSのアカウントを削除し、ゲームアプリも削除。新しいアプリをインストールできないようにした(東洋大学3年)
使い方次第で便利に
一方で、スマホにはさまざまな機能や勉強用のアプリなどがあり、単に時間を奪うだけの道具ではありません。「スマホは大学受験に役立ちましたか」という質問でも、8割を超える人が「はい」と回答しています。
具体的には、「時間管理」「暗記」「情報収集」「息抜き・モチベーション維持」「勉強関連の動画視聴」などで活用した人が多いようです。具体的に見ていきます。
●時間管理
・勉強時間を記録するのに「Studyplus」が役立った。積み重ねを可視化できて、モチベーションの向上に繋がった(広島大学4年)
・スマホで勉強時間を可視化すると、モチベーションが上がったり、勉強の偏りが見えたりした(武蔵大学4年)
・勉強時間を計っている間はスマホが使えなくなるタイマーアプリを使用した(昭和薬科大学3年)
・「Goodnotes」や「Studyplus」で勉強量や質を客観的に把握できた(鳥取大学2年)
・電車の車窓動画を流して、どこどこに着くまでにこれを終わらせるといった勉強をしていた(長崎大学4年)
●暗記・学習アプリ
・英作文の添削に「Google翻訳」「DeepL翻訳」を使って国立大学の2次試験も乗り切った(筑波大学3年)
・スマホで英語のリスニング音源を手軽に聞けたし、紙の単語帳よりも収録語数の多い「でた単」という英単語アプリを使用できた(早稲田大学1年)
・英単語はほぼ電車の移動中に「ターゲットの友」で覚えた。自分だけの単語帳をつくれる「WordHolic!」も役立った(東北大学1年)
・スマホで遊びそうになったら、英語アプリ「mikan」などを開くようにした(名古屋文理大学1年)
●情報収集など
・入試情報の入手や出願手続きをするのに役立った(慶應義塾大学1年)
・問題の解答を出してくれるアプリを入れたら重宝した(大阪教育大学3年)
・志望校の面接でどんなことを聞かれたかを、「Yahoo!知恵袋」で過去の受験生から教えてもらえた(大妻女子大学1年)
●モチベーションの維持
・InstagramやXで志望校に通う学生を探し、その投稿から大学生活をイメージしてモチベーションを高めた。また「Studyplus」で友達とつながると互いの頑張りが見えることで、モチベーションを高め合うことができたし、いつでもコミュニケーションを取れることでメンタルも保てた(東京外国語大学3年)
・他の受験生や受験対策の動画などを見て、モチベーションを保っていた(名古屋市立大学4年)
・YouTubeを初期化して履歴が残らないように設定した後で、勉強のモチベが上がる動画を見た(國學院大学1年)
・スマホの色彩を白黒設定にすると、スマホを見る意欲が減るからおすすめ!(防衛大学校2年)
・音楽を聴いたり、先輩の体験談を読んだりしてモチベーションを高めた(福島大学4年)
●勉強関連の動画視聴
・理科や数学でわからない問題が出てきて、解説を読んでも理解できないと感じた際に、動画を見て解決できた(明治大学1年)
・授業でわからなかった部分をYouTubeで復習する。自分に合った動画投稿者を見つけると効率よく勉強できる(琉球大学1年)
・入浴時や混んでいる電車内では「スタディサプリ」などの勉強動画が役立った(早稲田大学1年)
・YouTube上にある数学の動画を大量に視聴して、知らない問題を減らした(神戸大学1年)
大学生へのアンケートから、スマホと受験勉強の両立はなかなか難しいものの、上手く使えば時間を有効活用したり、モチベーションを上げたりできることもわかりました。結局は、工夫次第。一歩でも合格に近づけるよう、先輩たちが実践した方法から気になるものがあれば、試してみるといいかもしれません。
>>【前編】大学生248人に聞きました 「スマホがなければ第1志望校に行けたかも」と3割が回答
(文=竹倉玲子)

【写真】スマホは受験勉強の敵か味方か? 「受験に役立った」と答えた8割の学生の活用法は
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