『国連で働く』という夢を現実へ ~関西学院大学の2人の場合~

Sponsored by 関西学院大学

2023/09/14

国際関係のプログラムが豊富に用意されている関西学院大学。とりわけ国連・国際機関の職員養成においては他の追随を許さない。世界を直視する関西学院大学の学びや体験の場とは、どのようなものだろうか。総合政策研究科博士課程前期課程1年の坂根咲花さんと、総合政策学部4年の角田菜月さんに話をうかがった。(写真=「大学院副専攻国連・外交コース」の授業の一コマ)

◆パスポートもなかった自分が

国連職員になるという夢を抱いた

坂根咲花(さかね・さきか)さん

総合政策研究科 博士課程前期課程1年 大学院副専攻国連・外交コースを履修

愛媛県出身。総合政策学部国際政策学科では、学部副専攻「国連・外交プログラム」を専攻・修了。2022年7月29日~9月16日に国連・外交インターンシップに参加

国際協力への関心は、小学生のときにはすでに芽生えていた。

「小学校の校長先生が、学生時代にバックパッカーで世界中を旅した方だったんです。いろんな国の話をしてくれる中で、インドのスラム街の話は特に衝撃的でした。その頃から途上国の人たちの役立つことが、私の将来の目標になりました」

高校は愛媛県の松山東高校。文部科学省のスーパーグローバルハイスクール指定校だった同校では、台湾とアフリカ・ウガンダでのフィールドワークを実施しており、坂根さんは迷わずそのプログラムに参加した。

「うちは両親もパスポートすら持っていない家庭で、私にとって初めての海外体験が台湾でした。ウガンダでは日本のODAの現場を見学したり、青年海外協力隊の人たちに話を聞いたりして、途上国への思いはますます高まっていきました」

関西学院大学総合政策学部国際政策学科への進学の決め手となったのは、同学科に国連で仕事をした経験がある教員が複数いたことだという。

「大学受験を考え始めた時点で、関西学院大学の国連・外交プログラムにすごく魅力を感じていたんです。そして入学してすぐ、自分の選択は正しかったと実感しました。国連や外交分野でキャリアを積まれた先生方が、自らの経験をもとに話をしてくれる。世界の課題をリアルに感じることができるのが、何よりもよかったですね」

授業では「もし自分が国連の職員だったら、実際に某国で起こっている人権弾圧についてどう考え、どう対応するか?」といった問題をみんなで考え、討議した。そうした経験を通じて「国際機関で働きたいという漠然とした夢が、具体的な目標に変わっていきました」と当時を振り返る。

写真左:関西学院大学で開かれた、国際的に核兵器廃絶を訴えるサーロー節子さんの講演会で花束を贈呈する坂根さん 写真右:国連・外交インターンシップではJICA中国センター市民参加協力課(広島県)で実務を経験。オフィスのレイアウト変更やイベントの企画実施等に携わった

◆「憧れ」が「実現可能な目標」に

大学が自分の道を拓いてくれた

国連を始めとした国際機関の多くは、修士号を持っていることが採用の必須条件の一つとなっている。そこで坂根さんは修士課程に進み、大学院副専攻国連・外交コースも履修した。

「学部と大学院の教育が連携しているのがこの大学のいいところですね。大学院副専攻国連・外交コースは授業のすべてが英語で、元外交官や元国連職員の教員陣だけでなく、ときには国際社会で現役で活躍されている著名な方々もゲストスピーカーとして授業に参加されます。授業のレベルは海外の大学院と同等で、文献やレポート提出、プレゼンもすべて英語。英語が苦手な私は最初かなり苦労しましたが、ハードな授業のおかげでかなり英語力が伸びました(笑)」

昨夏には、広島県にあるJICA(独立行政法人国際協力機構)中国センターで1カ月半のインターンシップも経験した。そこでは、中国5県の高校生を対象とした二つのイベントに携わった。一つは「高校生国際協力体験プログラム」の運営補助。高校生自身が青年海外協力隊の一員となったと仮定して、その国のために何ができるかを参加者同士で考え、アクションプランを発表する2泊3日のプログラムだ。もう一つは、インターン生が自ら企画し、開催した「高校生対象国際協力進路相談カフェ」である。

「私も愛媛県出身ですが、地方の高校生にも国際協力に興味を持っている人は多いんです。でも、大学進学も含め、どう行動したらいいのかわからない。そうした悩みを持つ高校生のために、体験トークやワークショップを通じて進路について考える場を設けたんです」。二つのイベントは大盛況だった。

坂根さんは来年、日本の中小企業の海外進出をサポートする独立行政法人に就職する予定だ。中小企業と途上国を結ぶことで、互いを活性化させるのが仕事だという。国際機関で働くキャリアの第一歩を、まずはそこで踏み出す。

「途上国に行きたい、国連で働きたい、と小中学校のときから言い続け、実際にこの大学に来たことで、その夢が現実のものとして手が届くようになりました。ただの憧れが、実現可能な目標となる手助けを、この大学は手厚くしてくれます。自分には無理かも、と感じている高校生にこそ、ぜひ関西学院大学で学んでほしいですね」と坂根さんは言う。

 

◆国際ユースボランティアに参加し

途上国の国連機関でインターンを経験

角田菜月(かくた・なつき)さん

総合政策学部 国際政策学科4年 学部副専攻国連・外交プログラムを履修

兵庫県出身。2022年9月末~23年2月末、国連ユースボランティアでインドネシアに派遣、ユネスコジャカルタで実務を経験する

小学5年生から中1の終わりにかけて、父親の仕事の関係でオーストラリアの首都キャンベラに住んだ。そこでは各国の大使館職員の子どもと接する機会がよくあり、「幼な心に『多文化共生』というものを実感していました」と角田さんは言う。

帰国後、中学の公民の授業で「日本は国連にアメリカに次ぐお金を拠出しているのに(当時)、日本人の国連職員は他国と比べて少ない」という事実を知る。「それなら、自分は英語が得意だし、国連職員を目指してみよう」と考えた。

神戸の公立高校の国際科では、英語ディベート部に所属。高校1年のとき、関西学院大学が主催する「関西学院世界市民明石塾」に参加した。明石塾とは、元国連事務総長の明石康氏を塾長とし、グローバルリーダーを目指す高校生たち約30名を対象に国際的な視野と課題解決力を教えるもの。「そこに登壇された1人が、国連ユースボランティアに参加した関西学院大学の学生でした。その方の話を聞いて、私も参加したい!と思ったんです」

国連ユースボランティアとは、大学が国連ボランティア計画(UNV)と協定を結び、学生を開発途上国にある国連の諸機関にボランティアとして派遣するプログラムである。関西学院大学は世界で3番目、アジアでは初めて、2004年から同プログラムに参加し、これまでに100人を超える学生を途上国へ派遣している。国連職員になることを目標としてから「途上国における国連機関に関心を抱いていました」という角田さんは、関西学院大学、そして国連ユースボランティアを、キャリアを歩むうえでの重要なメルクマールと考えるようになった。

写真:ユネスコジャカルタでは、国連ボランティアは角田さん一人だけだった。「一番年の近い職員も10歳離れていたので、いろいろ気にかけていただきました。将来、国連で働く際に気をつけること、どのようなキャリアを立てるべきかを学ぶことができました」と角田さんは言う

◆さまざまな経験がすべて

国連職員のキャリアにつながる

国連職員になるには、文系、理系にかかわらず修士号を持ち、国連職員として働くために必要な実務経験を少なくとも2年以上持つことが必須条件だが、「この道を歩めば必ずなれる」というルートは存在しない。関西学院大学に進んだ角田さんは、学業はもちろん、国連をテーマとしたサークルで部長を務めるなどの努力が実り、学部3年生のとき、国連ユースボランティアの一人に選出された。

「派遣されたのはインドネシアのジャカルタにあるユネスコの事務所、期間は約5カ月間でした。私が所属したのは『サイエンス』の部署で、政府の方々を対象に、あらゆる政策を科学的な根拠に基づいて形成するように推進するセクションでした」

角田さんはそこで仕事をサポートするだけでなく、インドネシアの大学生を対象としたオンラインイベントを自ら企画し、上司に提案した。テーマは「気候変動の倫理」。政府の気候変動対策の中に社会的弱者のニーズをどう取り込むかを考えるパネルディスカッションで、角田さんは登壇者の選定から、大学生への告知、ライブ配信まで、中心となって取り仕切った。「最終的に119名がイベントに参加してくれました。とても有意義な話し合いとなり、私にとってすごくよい経験になりました」と当時を振り返る。

国連ユースボランティアに参加する中で、国際機関で働く先輩たちにたくさん出会うことができた。上司の一人はアメリカで教育を受けたモンゴル出身の女性で、「その方が周りと交渉しながら、パワフルに物事を進めていく姿に大いに刺激を受けました」と言う。

卒業後、コンサルティングファームに就職が決まっている角田さんは、そこで経験を積んだ後、幼い頃からの目標である国連職員にチャレンジしようと考えている。

「もし自分と同じように、国連ユースボランティアにチャレンジしたいという高校生の方がいたら、大学生のうちからいろんな経験を積んでおくことをおすすめします。途上国に行ってみたり、高齢者施設で働いてみたり、環境について勉強したり。そうした経験のすべてが、将来、国連で働くことに繋がっていくはずです」

 

【国連機関志望者のための学部・大学院のプログラム】

「大学院副専攻国連・外交コース」の授業の一コマ

1889年の建学時より「世界市民」の育成を教育の柱とする関西学院大学は、国際連合(国連)との結びつきが強い。1997年にはニューヨークの国連本部を訪れる国連セミナーを、2004年には国連ユースボランティアを開始、2007年からは日本の大学で初めて「UNHCR難民高等教育プログラム(RHEP)」に参加し、難民の学生の受け入れを行っている。

国連をはじめとする国際機関で働く人材を養成するプログラム・制度も充実している。

▶大学院副専攻国連・外交コース/主専攻に所属しながら、副専攻として履修する国連・国際機関などの職員養成に特化したプログラム。副専攻のため、本コース履修のための学費負担はなく、授業はすべて英語で実施。国内外の国連機関等で必ずインターンシップを経験することが特徴となっている。

▶学部副専攻国連・外交プログラム/大学院国連・外交コースでの本格的な学びの準備として、学部生が国連・外交について体系的に学ぶプログラム。国際機関で働いた経験を持つ教員が指導し、国連ユースボランティア等海外プログラムへの挑戦を通じて、将来、国際機関で働くための素養を育成する。

▶国連システム政策研究専攻 修士課程(仮称)/2025年4月、大学院総合政策研究科に新設を予定している。国連の採用基準である「UN Competency Framework」に基づいたカリキュラムで、「グローバルガバナンス」「国際組織」「国際開発」「国際人権・人道」「ジェンダー」などを実践的に学ぶ。

国連等の国際機関で働くためには、大学院で修士号を得た後、政府機関や民間企業、行政法人などで必要な職歴を2年以上(平均5~6年)積むことが必要となる。そのため関西学院大学では、各プログラムの教職員が卒業・修了後もキャリアパスの相談に乗っている。このように学生が安心してチャレンジできるよう、修了生へのフォローは継続して行う体制がとられている。

詳しくはこちらへ
https://www.kwansei.ac.jp/index.html

(取材・文/大越裕 撮影/山本仁志(フォトスタジオヒラオカ) 制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ)

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