【大学生活とお金】「スカラシップ」で授業料が半額に ひとり暮らしの家賃は4.5万円、バイトは時給970円

2024/02/22

■学生生活 お金のリアル(長野県松本市)

新潟県出身のKさんは、松本大学教育学部のスカラシップ生資格を得て、進学を決めました。親に学費の負担をかけたくないという思いからです。4年生となった現在は、教員採用試験にも無事に合格。ひとり暮らしで、アルバイトをしながらの4年間は、生活費をどのようにやりくりしてきたのでしょうか。(写真=本人提供、ライトアップされた松本城)

スカラシップ生で年間授業料は半額に

小学校の時から教員になることを夢見ていたKさん。学費の面で親になるべく負担をかけないよう、地元の国立大学を目指していましたが、残念ながら不合格に。併願校として受験した松本大学の「教育学部スカラシップ生資格」を得て、両親を少し安心させることができたといいます。

 

松本大学の「教育学部スカラシップ生資格」は国立大学と同等の学費が4年間保証される制度で、2017年の学部創設時から実施。例えば年間の授業料80万円は40万円になります。
*Kさんはスカラシップ生資格試験を受けて合格しましたが、現在は一般選抜など試験の成績と書類審査で大学が優秀と認めた学生最大10人に、スカラシップ生資格を付与する形に変更(2024年1月時点)。

 

――小さい頃から教員を目指していたのはどうしてですか。
小学校の時に出会った先生の影響です。当時は一緒にいるだけでも楽しかったのですが、自分が成長するにつれ、その先生があの時、いろいろと考える機会を与えてくれていたんだと気づきました。多くの子どもたちにそんな経験をしてもらいたいと思ったのが教員を志望した理由です。小学校の卒業文集にも書いた覚えがあります。

――大学での学びはどうですか。
実際に教育現場を見てきた教授が多く、どのような生徒がいて、どのように教えてきたかなど、経験に基づいた授業内容でとても勉強になります。

入学した2020年はコロナ禍で、1年の前期はオンライン授業でした。知り合いもいなくて不安だったため、一度実家に戻りましたが、対面授業が増えた後期からは松本に戻り、ようやく「大学生になれた」という喜びを実感することができました。それからは「試験に合格して教員になる」という同じ目標に向かって一緒に協力し合える仲間ができました。無事、教員採用試験にも合格し、新潟で念願の小学校教員になります。

大学の周辺は大自然を見渡せる恵まれた環境。通学途中に撮影した、桜と北アルプスの風景(写真=本人提供)

生活費は月約8万円のアルバイト代で

――大学4年間は、どんなところに住んでいたのですか。
民間の賃貸マンションです。家賃45000円で、松本市の一般的な相場より安いほうだと思います。大学の最寄り駅や松本駅からは離れていますが、通学や買い物など移動手段は基本的に車です。1年の5月くらいに松本市で運転免許を取得し、中古の軽自動車を手に入れました。車通学の学生は割と多くて、電車通学と半々くらい。自転車や徒歩での通学は少数です。

家賃やガス・電気代、携帯の通信料は両親が負担してくれています。光熱費はどのくらいかかっているか把握していませんが、携帯の通信料は格安スマホで月3000円程度です。水道代とマンションのインターネット回線は家賃に含まれています。学費が減免になったものの、家賃などの負担があるので、国立大学に受かって自宅通学できていれば、より両親を安心させられたのに、と思います。

――そのほかの支出はどのようにやりくりしていますか。
仕送りはないので、食費や交通費、友人との交際費は月約8万円のアルバイト収入でまかなっています。食費は月約2万5000円、交際費は約1万円です。交通費も1万円くらいで、主に車のガソリン代です。ガソリン代は高くて、大学の駐車代(1日180円)も入れるともう少しかかっています。

 

Kさんがかなりの頻度で食べている学食のマヨソースカツ丼。「学食はメニューが豊富で、味もおいしいです!」(写真=本人提供)

――初めての一人暮らしで、家事やお金の管理は大変でしたか。
家事を全部自分でこなさなければいけないのは、とても大変だと思いました。洗濯は2〜3日に1回、掃除は週1回のサイクルで清潔な状態を保てていますが、料理はあまりしていません。初めはレシピ本を買って頑張っていたのですが、作るだけでなく、食器洗いなどの時間がかかるので、外食したり総菜を買ったりしています。お昼は学食や購買を利用しています。

お金の管理には、家計簿アプリを活用しています。何にいくら使ったかがグラフで可視化できるので、「今月は食費を使いすぎた」など一目でわかるのがいいところです。あとは、なるべく口座にお金を残すことを意識しながら支出を抑えていたこともあり、今までやりくりに困ったことはありません。

――何のアルバイトをしていますか。
1年の10月からコンビニエンスストアでアルバイトをしています。時給970円で15時間、週4入っています。定期試験や教員採用試験、卒論執筆の時は、オーナーがシフトの融通を利かせてくれました。子どもからお年寄りまでいろんな人が来るのが面白そうだと思って始めましたが、従業員の方々など、さまざまな大人と接点を持てたのもよかったです。

小学校の学習支援ボランティアも経験

長野県安曇野市にある「大王わさび農場」。同市と松本大学は地域社会の発展のために包括的連携協定を締結しています(写真=本人提供)

――大学では、サークル活動などに参加していますか。
2年の4月から、オープンキャンパスの運営に関わっています。高校生の時、自分も不安を抱えていたので、受験生の気持ちがわかります。「大丈夫」ということを伝えたくてこの活動に参加しました。

また、松本市内の小学校で学習支援をするボランティアもしました。教育実習の前にいろいろ知っておきたくて、志願しました。現場の先生がどう教えているのか、子どもたちをどうまとめているか、教員になるうえで心得ておくべきことを多く学びました。子どもたちも名前を呼んでくれるようになり、距離が縮まるのを実感できた時はうれしかったです。

 

仙台旅行の時の写真。名物の牛タン定食は外せない一品(写真=本人提供)

――長期休暇はどう過ごしていますか。
その土地ならではの観光地を巡るのが好きで、友達とは仙台や東京、大阪、一人で山梨や高崎にも行きました。移動は車ですが、走行距離を増やしたくないので、友達と一緒の時は旅先でレンタカーを借りて、運転を交代しながら観光しています。卒業旅行は東京ディズニーランドに行く予定です。

――帰省はしていますか。
 年に34回しています。松本市から実家の上越市まで高速道路を使えば約1時間半ですが、一般道を使って約3時間かけて帰っています。節約のためではありますが、運転が好きなので苦ではありません。実家に帰ると毎日ご飯が出てくるので、改めて親のありがたみを感じます。

上越市内の地元に比べると、松本市は生活するのにとても便利です。松本城の近くにある、なわて通り商店街などもお気に入りです。ただ、地元より寒さは厳しいです(笑)。

――もう少しで卒業を迎え、いよいよ教員として新しいスタートを切ります。
 4月から教員になるため、その勉強にも時間を割いています。教育の現場は大変だと聞いているので、自分にできるのかと不安もありますが、それよりも子どもたちの成長を間近に見られる期待のほうが大きいです。

教員としての新生活に向けて、Kさんが読んでいる教育関連の本(写真=本人提供)

【ウチの大学自慢】

松本大学は中心部の松本駅から電車で約12分、最寄りの「北新・松本大学前駅」から徒歩2分ほどの好立地ながら、遠方からも通学できるよう1限目の講義開始を遅くしています(9時40分スタート)。また、560台の駐車スペースがあり、多くの学生がマイカーで通学。Kさんも利用しています。(写真=松本大学提供)

【1カ月の主な費用】

(文=𠮷川明子)

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