浪人中、汗が出なくなる「難病」が判明 見つめ直した「大学で学ぶ」意味と、いまの生活

札幌大学

2023/10/23

■この街で大学生活を送りたい!

雄大な自然やグルメなど魅力あふれる北海道で大学生活を過ごしたい、と憧れる受験生も少なくないでしょう。秋田県出身で現在、札幌大学に通う佐藤翼さんもその一人です。しかし、大学入学までには予期しない苦難がありました。(写真=札幌大学提供)

佐藤翼さんは、鉄道好き。写真右は入線する「はまなす編成」(写真=本人提供)
佐藤翼さんは、鉄道好き。写真右は入線する「はまなす編成」(写真=本人提供)

佐藤さんは現在、地域共創学群日本語・日本文化専攻3年。祖父母が札幌市に住んでいたこともあり、幼少期から北海道大学に憧れてきました。しかし現役での合格はかなわず、1年浪人することを決意。秋田県の実家を離れ、祖父母の家で暮らしながら札幌市内の予備校に通いました。その浪人生活の途中で、思わぬ事態に直面したのです。

どこの大学に入るかではなく、自分が何をするか

――札幌での予備校生活で予期しないことが起きたそうですね。

受験生にとって大事な夏の時期に、特発性後天性全身性無汗症という指定難病であることがわかりました。体温調節などに必要な汗をかくことができなくなる病気で、熱中症になりやすく、自律神経にも影響を及ぼす可能性があります。地元の秋田では診断がつきづらく、札幌の専門病院の検査で病名がはっきりしました。数回入院し、ステロイド治療による副作用もあったため、とても受験勉強どころではなくなりました。

――どう対処したのですか。

病気になって、今までの自分を振り返るようになりました。地元の進学校に合格して高2くらいまでは順調でしたが、受験で周りの人と競争するのが嫌になり、浪人生活でさらに気がめいりました。でも、同級生や先輩などいろんな人と話すうちに「大切なのはどこの大学に入るかではなく、自分が大学で何をするかということ」に気づき、祖父母の家から近い札幌大学を選びました。北海道大学を目指す私をずっと応援してくれていた祖父母や母を失望させてしまったのではないかと不安でしたが、「主体性があれば、どこの大学でも成長につながるはず」という私の意見をみんなが理解してくれました。札幌大学に合格したときもすごく喜んでくれました。

教授との出会いで広がった自分の可能性

――札幌大学の教育の特徴を教えてください。

札幌大学は地域共創学群の1学群のみで、1年次にいろいろな専攻の勉強をしたあと、経済学、経営学、法学、英語、歴史文化、日本語・日本文化、スポーツ文化、リベラルアーツの八つの中から主専攻を選びます。北海道大学にも1年間、教養科目や基礎科目を学んだ後、志望と成績に基づいて学部・学科に移行できる総合入試という制度があり、地域共創学群もそれに似ていていいなと思いました。

――日本語・日本文化を専攻していますが、どうしてこの領域を選んだのですか。

1年生のときに日本文学の授業が面白いなと感じたことに加え、入門演習で担任だった小笠原はるの教授の研究室に入りたいと思ったからです。文学というと本のイメージが強いのですが、「音楽やテレビ、人とのコミュニケーションも文学」と聞いて、文学の奥深さに興味がわき、日本語・日本文化を専攻することにしました。昔の自分なら選択しなかった分野です。また、私はコントラバスが趣味で、ジャズに精通している教授とは専攻以外の話題でも盛り上がります。

大学では写真の授業もあり、カメラを持ち歩くことも多い(写真=本人提供)
大学では写真の授業もあり、カメラを持ち歩くことも多い(写真=本人提供)

充実の大学生活 趣味はお得に満喫

――今は一人暮らしをしているのですか。

大学進学を機に一人暮らしを始めました。料理はもともと好きですが、掃除や洗濯は苦手。友達を家に招くことで片付けざるを得なくなる状況をつくっています(笑)。家賃と電気代、携帯電話代は親が負担してくれていて、水道やガス、その他の生活費は給付型奨学金の範囲内でやりくりしています。アルバイトをしていないので、その分、学業に専念して、奨学金が給付され続けるように頑張っています。

――北海道での生活はいかがですか。

札幌は秋田よりずっと都会で便利です。大学のある地域は静かな環境ですが、札幌駅やすすきのなどにも出やすく、よく飲み会や買い物で利用します。冬は授業の後のスキーや温泉が最高です。大学から車で10~15分の場所にスキー場がいくつかあり、定山渓温泉も比較的近場にあります。

札幌藻岩山スキー場。ナイター利用も可能で、札幌の夜景を一望できる(写真=本人提供)
札幌藻岩山スキー場。ナイター利用も可能で、札幌の夜景を一望できる(写真=本人提供)

――お気に入りのお店はありますか。

北海道で展開しているコンビニチェーンのセイコーマートです。各店舗で作っているお弁当やお総菜がおいしいです。あとは、大学の正門前にある老舗スープカレーの「カレーリーブス」もランチによく行きます。スパイスが利いていてハマりました!

「カレーリーブス」のチキン野菜カレー(写真=本人提供)
「カレーリーブス」のチキン野菜カレー(写真=本人提供)

――札幌周辺以外にも足を延ばすことはありますか。

よく一人旅に出かけます。鉄道が好きで、JR北海道の路線にはほとんど乗りました。全国各地にいる高校時代の友達の家を泊まり歩きながら旅行するのも楽しいです。安価な移動手段も知っていますし、お得に旅を満喫しています。今年の夏もどこかに行きたかったのですが、運転免許を取るために教習所に通いました。

富山県のJR氷見線・雨晴海岸(写真=本人提供)
富山県のJR氷見線・雨晴海岸(写真=本人提供)

――3年生なので、そろそろ就活も視野に入ってきますね。

具体的な進路はまだ定まっていなくて、就活しながら考えていければと思っています。今はいろんなことが学べるこの大学の環境がとても気に入っています。札幌大学は、キャンパスを歩く学生も生き生きとしているし、研究室に行けば学生や留学生が誰かいるので、大学に行くのが楽しいです。秋学期からは、「自分の強みや売りになるところ、可能性を見つける」という目標を掲げ、いろんなことに挑戦しようと思っています。

 

【基本データ】
札幌大学はさっぽろ駅から地下鉄東豊線月寒中央駅まで乗車(約12分)後、中央バスの澄川白石線または西岡月寒線を利用(約9分)し「札大正門前」で下車。「札大正門前」までは札幌駅前(さっぽろ東急百貨店南口前)から中央バスの西岡平岸線または西岡美園線を利用することもできます(約35分)。「札大南門」の下車であれば、さっぽろ駅から地下鉄南北線澄川駅まで乗車(約13分)後、中央バスの西岡環状線(西岡先回り)、下西岡線、西岡線、澄川白石線のいずれかが便利(約6分)。

【街の特徴】
札幌大学は札幌ドームや羊ケ丘、藻岩山(もいわやま)などに囲まれ、自然と都会の雰囲気が共存するエリアに位置します。周辺にはスーパーやコンビニエンスストア、飲食店も多く便利です。北海道の食材を生かしたレストランもあり、外食にも困りません。また、札幌大学は自習室や図書館、学食など設備も万全、一日中、学内で過ごすという学生も少なくありません。海外からの留学生も多いため、国際交流も活発です。

【家賃相場(月平均)の例】
家賃相場は、月寒中央駅周辺ではワンルームで3.43万円、澄川駅周辺は2.81万円(「LIFULL HOME’S」から引用、駅から徒歩10分以内の賃貸物件の平均賃料を軸に算出)。
札幌大学には二つの指定寮があり、どちらも大学まで徒歩圏内。1カ月の室料は1日2食付きで6万9千円。家具付きの個室で無料Wi-Fi完備、寮長寮母も常駐しているため、一人暮らしは初めてという学生でも安心して新生活をスタートできます。

【このエリアにある大学】
札幌国際大学(地下鉄東豊線福住駅から中央バス「札幌国際大学前」下車徒歩約5分)、北海商科大学(地下鉄東豊線学園前駅出入口4番直結)

※記事中のデータは2023年9月時点の情報です

(文=𠮷川明子)

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