塾の授業について行けない…やめたい そう悩んだとき、やるべきこと

2023/07/30

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高校生になって塾に通い始めたものの、予習・復習や宿題が追いつかず、疲れてしまっている人は意外に多いのではないでしょうか。そんな悩みを持つ高校生からの相談に、個別指導塾CASTDICE塾長の小林尚さんが答えます。(写真=Getty Images)

[相談]
塾に通い始めましたが、学校の勉強よりも進度が速く、ついて行くのが大変です。塾をやめて、学校の進度に合わせて自分で勉強したほうがいいのでしょうか。(高1女子)

塾を利用する目的は?

[回答]
あなたと同じような悩みを抱えている高校生は少なくありません。塾をやめるかどうかを考える前に、まずは「塾に行くきっかけ」「塾を利用する目的」が何だったのか、振り返ってみることが大切です。世の中には塾に行かなくても自宅学習がしっかりとでき、成績も優秀で、難関大学に合格する人が確かにいます。

しかし、多くの人はそれができないから塾に通うのです。相談者の方もそうではないでしょうか。だとすれば、塾をやめても問題が解決するとは思えません。

特に理由もなく、「友だちが塾に行っているから、なんとなく塾に行くことにした」というようなきっかけであれば、塾をやめたほうがいいかもしれません。モチベーションが続かず、「ただ通っているだけ」という状態になり、塾に通っている時間が無駄になる上、学力の向上にはつながらないことが多いからです。

次に考えるべきなのは、塾を利用する目的です。通塾の目的は大きく分けると、一つは「学校の授業ではわからない部分や苦手な科目を克服したい」、もう一つは「難関大学などへの進学を目指しており、学校の授業よりも難しい内容や先の範囲を学びたい」になると思います。

一つ目の場合は、苦手を克服するために通っているのに、塾で自分の実力よりもレベルの高いコースを選択している状態にあります。解決策としては、自分の実力に合うコースに変更する、あるいは学校の勉強のフォローをしてくれる補習系の塾に変えることで、「ついていくのが大変」ということはなくなると思います。自分の実力に合った塾でしっかり学べば、成績も伸びてくるでしょう。

次に二つ目の場合ですが、相談者の方のお悩みはこちらだと思われます。難関大学向けの塾は「先取り学習」がメインで、学校ではまだ習っていないことを学んでいくので、「ついていくのが大変」なのはある程度、仕方がないでしょう。

難関大学の合格を勝ち取るには、先取り学習は有効な手段です。高校の学習範囲を早く終えることができれば、その分、過去問対策に力を注ぐことができ、万全の態勢で受験に挑むことができるからです。

また、先取り学習をしたことを学校の授業でさらに定着させられるので、定期試験などでもいい成績がとれるようになり、高い評定平均値が求められる有名大学の学校推薦型選抜などを狙う場合にも役立ちます。

一日のスケジュールを見直して

とはいえ、塾の授業についていくのが大変な状況を少しでも改善するためには、生活スタイルを見直すことが大事です。一日のスケジュールを振り返ったときに、塾の予習や復習、宿題が十分にできる時間を確保できているでしょうか。実は学校と塾を両立する準備ができていないまま、塾に通っているケースは多くみられます。具体的には、「塾に通う前と同じくらいの時間、スマホを使っている」「毎日遅くまで部活がある」「学校帰りに友だちと寄り道をしてしまう」といった具合です。これでは学校と塾を両立させるのは不可能でしょう。塾をやめようかと考える前に、一日のスケジュールを見直してみましょう。

私の通っていた開成高校では、塾や予備校をかけもちしている生徒が大勢いました。進度が相当に速く、大量の宿題があることで知られる「鉄緑会」という塾に行っている人も半数くらいいたと思います。

開成高校は学校の授業が終わる時間が早く、部活動の時間が短くて活動日も少ないなど、自由に使える時間が多かったので、学校と塾の両立はしやすかったと思いますが、それでも、多くの学習時間を確保するためには自己管理が欠かせませんでした。

学校の授業時間や部活動の時間は、自分でコントロールできません。その分、スマホの使用時間や友だちと遊ぶ時間など、自分でコントロールできる時間の中で学習時間を確保する必要があります。勉強に使える時間が少しずつ増えてくると、以前よりも余裕が出てきて、塾の授業の理解も進むはずです。

あなたと同じように、多くのライバルたちも時間の確保が難しい中、試行錯誤しながら頑張っているはず。ぜひ目標に向かって課題を克服してほしいと思います。

【回答者】

(写真=本人提供)

小林尚(こばやし・しょう)/個別指導塾CASTDICE塾長
1989年埼玉県出身。高校受験で開成高校に入学し、弁論部キャプテンとして活躍。現役で東京大学文科一類に合格。大学在学中から大手予備校で指導にあたり、卒業後、経営コンサルティング会社の戦略部門を経て、20年に個別指導塾CASTDICEを設立。YouTubeチャンネル「CASTDICE TV」で、受験やキャリアに関する動画を配信し、「コバショー先生」の名で知られるように。著書に『開成・東大卒が教える 大学受験「情報戦」を制して合格する勉強法』(KADOKAWA)。

(文=狩生聖子)

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