大学オープンキャンパス、親子連ればかり 理由は受験の複雑化?

2023/06/21

■特集:はじめてのオープンキャンパス

大学の説明会の場であるオープンキャンパスに、最近は親と一緒に参加する受験生の姿が多く見られます。親を対象とした説明会を行う大学も増えています。(写真=東京理科大学提供)

親向けのイベントが人気

近年は親と中高生が一緒にオープンキャンパスに参加するケースが多く、体験授業など中高生向けのプログラムに加え、保護者を対象とした説明会なども盛んに開かれています。

2023年、城西大学埼玉坂戸キャンパスでは、オープンキャンパスで保護者のみを対象とした説明会が行われました。北星学園大学では、高校生向けに大学説明や学内見学などを行う「HOKUSEI OPEN DAY」に合わせて、保護者向けの説明会も開催し、入試の現状と対策、学費や奨学金の説明に加え、希望者には個別相談も行いました。

1000人以上の親子連れが予約した東京理科大

学部・学科説明会では伊藤浩行学部長が登壇(写真=東京理科大学提供)

1000人を超える事前予約が入ったのが、千葉県野田市にある東京理科大学創域理工学部(23年4月に理工学部から名称変更)です。創域理工学部事務課の木俣博史さんによると、23年4月のオープンキャンパスの来場者数1390人のうち、高校生などの申込者697人に対し、親などの同伴者が693人と、ほぼ同数で、多くの高校生たちが親と一緒に参加しました。

オープンキャンパスでは、学部長らによる「学部・学科説明会」に加え、予備校講師による「入試動向説明会」も行われ、大学入学共通テストの解説から東京理科大学の志願状況、合格のためのアドバイスなどをわかりやすく、予備校独自のデータを使って説明しました。また「保護者向け説明会」では、入試方法やスケジュール、キャンパスの周辺環境や奨学金制度、進路についての情報を提供しました。

保護者向け説明会では、入試制度や大学生活に関する説明が行われました(写真=東京理科大学提供)

「自分の大学受験とは大違い」と親が実感

東京都在住のAさん夫妻は、親だけで参加。「子どもは第一志望の大学しか目に入っていないので、親がほかの大学も見ておこうと参加しましたが、入試方式の複雑さに驚きました」と話しました。

「自分が受験した時と比べていろいろな受験方法があり、この方式だとこの教科では受けられない、これとこれは併願できないなど、組み合わせが難しい。情報収集が合否の分かれ目だと思いました」(父親)

「ウェブで出願した後に紙の書類を提出するなど、出願手続きを間違えたら大変です。事務的な部分は親もフォローしていかないといけないと認識しました」(母親)

神奈川県在住のBさん夫妻は、高校3年の息子と参加。息子が模擬講義を受けている間に保護者向け説明会に参加しました。

「私たちが受験した頃は、偏差値や、理系科目ができないから文系にしようといった感覚で大学選びをしていました。今は入試方式がたくさんあり、共通テストを使うかどうか、理科は1科目か2科目かなど、受験に必要な情報が多すぎます。親がある程度理解していないと、本人だけでは選択できないだろうと思いました」(母親)

学科ごとに行われた研究室見学(写真=東京理科大学提供)

親ならではの視点もあります。

「理系の大学は学費が高いこともあり、子どもが行きたいならどこでもどうぞ、とはいきません。どんな大学なのか、本当に本人がやりたいことが学べるのか、親としてしっかり見極めるために来ました。友だちが行くなら自分も、などと流されがちなので、親がある程度関与して、情報の整理をしておこうと思います」(父親)

「自宅から遠いので寮を利用しようと思っています。職員の方に伺ったところ、寮は申し込み順で希望者も多いため、入寮できない場合もあるそうですが、大学近辺のアパート紹介も受けられるとのことでした。息子の第一志望は国立大学で、合格発表が私立よりも後になるので、東京理科大学に入学する場合、学費とあわせて部屋代も考えておかないといけません」(母親)

学生の指導のもと、中高生が実験体験をしました(写真=東京理科大学提供)

複雑化する受験には親の意識のアップデートが必須

創域理工学部の伊藤浩行学部長は、親にはまずはオープンキャンパスで大学の雰囲気を感じてほしいと言います。

「キャンパスの環境や立地は大学選びで重要な部分だと思うので、現地に来て見てほしいです。郊外ならではの緑豊かな環境や、芝生が広がるキャンパスの雰囲気のよさ、都心および研究交流のある筑波研究学園都市へのアクセスの利便性なども、実際に来てもらえるとよくわかると思います」

また、子どもの大学選びには親の意識のアップデートが重要だと付け加えます。

保護者はどうしても自分の受験の時の感覚でお子さんの大学選びを考えがちですが、当時と今の大学は全く違い、入試も非常に複雑化しています。そのため保護者向け説明会で、最新の受験情報を知ってもらいたいです。また、お金の問題も重要です。合格したらいつまでに入学金を支払うのか、そのスケジュールによってどの大学に出願するのがいいのかなどの情報は、受験情報誌を読んでもなかなかわかりません。説明会は直接話しながら情報を整理できる、いい機会だと思います」(伊藤学部長)

大学職員に入試、就職、学生生活などに関する個別相談ができる相談コーナー(写真=東京理科大学提供)

偏差値で大学を選ぶ時代が終わりつつある一方で、では何を基準にしたらいいのか、わからないという受験生もいます。また、受験制度が複雑化しており、親の手助けが必要な面も増えています。保護者もオープンキャンパスに参加して、大学の特色や受験の知識をアップデートするのがいいでしょう。

(文=安藤彩紀)

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