「反抗期の息子、進路の話ができない…」 受験生の親ができることは?

2023/05/15

子どもが高校生になると、大学で何を学びたいのか、将来どんな方向を目指すのか、親としては進路が気になります。しかし、多感な時期にいる子どもとは意思の疎通がうまくいかないことも。そんなときの対処法をサイエンスライターの竹内薫さんに聞きました。(写真=本人提供)

【質問】
息子が反抗期を迎えています。進路をどうするつもりなのか気になっているのですが、あまり話をしてくれません。どうしたらいいのでしょうか。(高校2年男子の母)

【回答】
私にも思春期の子どもがいるので、ご心配は十分理解できます。高校2年生は大人から見ると、まだまだ子どもですよね。社会で働いた経験がなく、世間の厳しさにも遭遇していないことが多い。進路は、これからの人生をどうしていくのかという大事な話ですから、親が心配になるのも当然です。ただ、自分でいろいろなことを決めていく年齢でもあります。結局、自分の将来を決めるのは子ども自身です。一番いいのは、無理に話しかけて聞き出そうとしないで、見守ってあげることではないでしょうか。

仮にお子さんの受験の準備が遅れて大学に合格できなかったとしても、翌年こそは大学に合格したいと思って勉強を始めるかもしれないし、自分のやりたいことにはスキルが必要なことに気づいて専門学校を選ぶかもしれません。その選択をお子さん自身がすることが大切です。

反抗期は、独り立ちの準備の時期でもあります。親が先回りして何でもやってあげると、それが一生続くことになってしまいます。自分で人生を切り開くには、一度や二度の失敗は必要です。それも含めて見守ってあげてほしいと思います。

親は過去に自分が何度も失敗してきているし、他人が失敗した事例も見てきているので、子どもにはその苦労を味わわせたくないと考えるのは自然なことです。しかし、やはり失敗させて、それを乗り越えていく力をつけさせるのが正解だと思います。困難を克服する経験を積み重ねていくことで、社会に出てからも、小さな失敗にはめげずに頑張れるようになるからです。失敗のない、きれいなルートを親が整備してあげていると、親がいなくなったときに困ってしまいます。

その代わり、子どもが受験すると決めたら、親はできる限りのサポートをしてあげてください。応援は無限大でいいと思います。戦うと決めたからには勝たなくてはなりません。家族が一丸となって応援する態勢を作りましょう。

親にできることはいろいろあります。相談されたときに的確なアドバイスができるように、大学や入試の情報を収集する、夜食を作る、試験会場まで車で送る、試験会場の近くのホテルに待機する……など、万全の態勢で受験に集中できるようにサポートしてください。受験は金銭的な負担も大きいですが、子どもの将来への投資だと思ってほしいですね。

振り返れば私にも反抗期はありましたし、不登校になった時期もありました。親は放任主義だったので、「勉強しなさい」と言われたことは一度もなく、「学校に行きなさい」とも言われませんでした。不登校の時期には先生が会いに来てくれたり、周りの人が少しずつ手を差し伸べてくれたりしましたが、最後は自分で「そろそろ、また学校に行ってみよう」と考えたのがよかったと思っています。

親は子どもを見守り、自分で答えを見つけられるようにサポートすることが最も大事ではないでしょうか。

【回答者】

(写真=本人提供)

竹内薫(たけうち・かおる)/サイエンスライター。1960年、東京生まれ。筑波大学附属高校、東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学)、東京大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学理論)。理学博士。NHK Eテレ「サイエンスZERO」のナビゲーターを務めた。『ゼロから学ぶ量子力学』『中高生の悩みを「理系センス」で解決する40のヒント』など著書多数。

(文=仲宇佐ゆり)

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