■大学受験のバトン・先輩の失敗から学ぶ
大学受験当日。保護者にできる数少ないことの一つが、お弁当(昼食)の準備です。合格した先輩受験生たちは、どんなお弁当を持って行ったのでしょうか。うれしかった中身は? 避けたほうがいいメニューは? 大学生631人へのアンケートからわかったリアルな声を紹介します。(写真=朝日新聞Thinkキャンパス編集部)
受験当日の昼食は「家から持参」が6割
学習管理アプリ「Studyplus」運営会社のスタディプラスの協力のもと、大学生ユーザー631人に、大学受験当日の昼食についてのアンケートを行いました(2023年11月)。

受験当日の昼食については、自宅からお弁当を持参した人が約6割、コンビニで購入した人が約3割で、この2つが大半を占めました。「緊張して食べられなかった」(東京都立大学1年)という人、「おなかがいっぱいになって眠くならないように」(茨城大学4年)とお菓子で済ませた人もいて、普段とは違う環境で、緊張しながら食べる昼食だったことが伝わってきます。
また、遠方からの受験のため、宿泊先から入試会場に向かった受験生は「受験地に前日入りしていたからコンビニで買うしかなかった」(徳島文理大学4年)という人が多いものの、「試験会場付近のコンビニはどのジャンルも売り切れていた」(東北大学経済学部)といった声も。宿泊先や試験会場で購入できたケースもあるようですが、どちらにせよ早めに準備するのがよさそうです。
人気は「おにぎり」と「お菓子」
どんなお弁当を持って行った人が多いのでしょうか(複数回答可)。下図のように、おにぎりとお弁当だった人が大多数です。ただし、お弁当といっても「おかず+おにぎり」という組み合わせだった人も多いことから、実際はおにぎりが圧倒的に人気のようです。

おにぎりについては、「休憩時間にパッと食べられて、余った時間で気持ちを整えたり、トイレに行ったり、準備をしっかりできた」(金沢大学生命理工学類4年)、「食べる量を自分で調整できるように、小さなおにぎりを入れてくれた」(千葉大学文学部1年)、「1個ずつ食べたいタイミングで食べられたのがよかった」(大阪公立大学1年)というコメントが多く、その食べやすさに票が集まったといえるでしょう。

なお、おにぎりとお弁当に次いで多かったのがお菓子です。「好きなおやつを持って行くことでリラックスできた」(京都女子大学4年)、「脳の疲労回復用」(京都府立医科大学医学部1年)、「科目の合間の短い休憩時間でも、糖分を補給できる」(学習院大学文学部3年)などと、甘いものや好きなお菓子を、リラックスやリフレッシュのために持参していた声が目立ちました。
さらに、家から持参した人の中には、お弁当と一緒に、温かいみそ汁やスープを持参した人も。「寒い会場でも温かいスープで午後からも頑張ろうと思えた」(大阪教育大学教育学部2年)、「みそ汁の温かみで緊張がほぐれた」(神戸大学国際人間科学部1年)と温かい食べ物は、気持ちを落ち着かせてくれる良さがあるようです。
受験本番に備えて、模試のときから同じ昼食メニュー
受験当日、なぜそのような昼食を選んだのでしょうか(複数回答可)。最も多かった回答が「食べ慣れているから」でした。「模試の際も毎回同じお弁当を作ってもらっていたので、いつもと変わらない気持ちで試験に臨むことができた」(上智大学総合人間科学部1年)、「入試前の1カ月の昼食は、本番に備えて母の作ったおにぎり以外は食べなかった」(東北大学工学部1年)などと、模試のときからあえて同じメニューにすることで、当日の安心感につなげた人が多くいました。

家族からのメッセージに涙した受験生も
さらに目を引いたのが、お弁当を前に、親への感謝があふれ出た人、励まされた人の多さです。なかには応援メッセージや手紙が入っていた人もいて、家族のサポートに「頑張ろう」と力がわいた様子も伝わってきます。
・お弁当を開けると母からの「あと少し!がんばれ☺︎」という手紙があり、そのあともすごく頑張れました(杏林大学保健学部4年)
・お母さんのおにぎりを食べると安心できた(岐阜薬科大学6年)
・お母さんが握ったおにぎりの一粒一粒に温かみや優しさを感じた(明治大学経営学部3年)
・入試会場で食べるお弁当は、人生で最初で最後だと思った(日本大学2年)
・母の愛情がこもっているので、精神的につらかったこともあって、食べるときに涙が出てきそうになった(上智大学総合人間科学部1年)
・食べ慣れたご飯に手紙で応援の言葉が書かれていて、受験は自分だけのことではないと改めて気づき、やってやろうと思いました(東京医科歯科大学1年)
・親からの応援の気持ちが伝わってうれしかった(長野県立大学1年)
・いつも通りのお弁当。母からの手紙があった。泣けた。泣いてないけど(東洋大学国際学部1年)
・母からの手書きの手紙が入っていて、手応えに一喜一憂しそうになった私を奮い立たせてくれた。そばで見守ってくれていた母への感謝と恩返ししたいという気持ちが強くなった瞬間でした(帝塚山大学法学部4年)
受験当日、実力を発揮するために、慎重にお弁当を選んだ受験生が想像以上に多いことがわかりました。そして緊張の中、家族のありがたみを感じた受験生も数多くいたようです。
親の思いは、お弁当を通して、会場にいる受験生にきちんと届いています。
>>「海苔がパリパリと…」「隣の弁当で吐き気が…」 先輩たちが語る、受験当日の「NG弁当」【後編】
>>大学受験で必勝のお弁当とは? 料理研究家・渡辺あきこさんに聞く
(文=竹倉玲子、協力=スタディプラス)

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