■著名人インタビュー
学習参考書を題材に、参考書の出版社を舞台にしたマンガ『ガクサン』が注目を集めています。読者には中高生の保護者も多く、編集部には「自分の学生時代を思い出した」「高校時代に読みたかった」という声も届いているそうです。作者の佐原実波さんに、参考書選びのコツや、自身の高校時代の話などを聞きました。(マンガ=佐原実波『ガクサン』〈講談社〉から)
>>学習参考書の出版社が舞台のマンガ『ガクサン』作者に聞く 良い選び方と、いまの中高生の悩みとは?【前編】
美大から私大文系に進路変更
――佐原さんは、どのような高校生だったのでしょうか。
中学受験をして私立中高一貫校に通っていましたが、あまり勉強をせず、部活や趣味に没頭し、好きなバンドのライブに通っていました。成績も上がり下がりが激しく、高1のときは数学で一番下のクラスになりました。英語のテストも、赤点ギリギリだった記憶があります。
振り返ると、なかなかやんちゃな高校生でしたが(笑)、大学入試もやりたい放題でした。高2のときに美大に行きたいと思って美大受験の予備校に通ったものの、あまりうまくいかなくて、高3になってから私大文系に変更しました。
自分に合った暗記方法を試して
――学習参考書は活用しましたか。
勉強自体は嫌いではなかったし、参考書も持っていましたが、使いこなせてはいませんでしたね。当時の私は「勉強は自分でするもので、参考書で情報を得るなんてダサい」と思っていました。書店へ行っていろいろ見ていたら、語学春秋社の「実況中継」シリーズなど、読書好きな私にもしっくりくる参考書にも出会えたはずで、もったいない話ですよね。その後悔の念も『ガクサン』を描く原動力になっているかもしれません。
それでもほんの数冊、気に入って使っていた参考書もあります。例えば、高3のときに友達みんなが持っているので買った『単語王』です。この単語集は、わからない単語があったページに付箋を貼って、バッサバサの状態でいつも持ち歩いていました。
とにかくたくさんの単語が収録されていたので、短期間でたくさんの単語を覚えたかった私には合っていたと思います。今はもう販売されていないのですが、「私も高校のときに使っていました」という人が案外いて、当時の話で盛り上がったりします。

――暗記作業は、書いて覚える人、口に出して覚える人など、個性が出ますよね。
『ガクサン』を描く中でいろいろな人の話を聞いて感じたのは、暗記が苦手だという人の中には、暗記そのものが苦手なのではなく、自分に合った暗記方法がわかっていない人が多いのではないか、ということです。例えば、音で覚えるのが苦手な人は、歴史の年号を語呂合わせで暗記しようとしても頭に入りません。そういう場合は、声に出して読んでみるとか、書いてみるとか、他の方法を試すことで自分に合った方法が見つかると思います。
英語のリスニング学習に後悔
――参考書も勉強方法も自分に合うものを選ぶことが大切なのですね。
私の場合、受験勉強を始めたのは周りの同級生より遅かったものの、自分に合った勉強法を自力で探せるタイプだったので、最終的には何とかなったところがあります。ただ、自力に頼る分、親に対しても先生に対しても、周りの人のアドバイスを聞き入れない頑固なところもありました。学習参考書もそうですが、もっと他の人のアドバイスも取り入れるべきだったと今は思います。
――そうすればもっとうまくいったかも、と思うのは具体的にどのようなことですか。
とりわけ反省しているのは、リスニングの学習です。当時は学校も今ほどリスニング授業に力を入れていなかったとはいえ、学習参考書をうまく使えば勉強する方法はあったと思います。
でも、通っていた高校に帰国子女の同級生が多かったせいか、「日本で生まれて、日本で育った私が英語の聞き取りなんてできるわけない」と思い込んでいたんですよね。結局、英語のリスニング力は身につけることができないまま、今に至ってしまいました。
子ども向け発音教材がおすすめ
――リスニングの教材も、今は種類が豊富ですね。
私が実際に読んでみて、すごく効果があると感じた教材の一つが、『あいうえおフォニックス 英語の母音をひらがな5つで完全攻略!』(KADOKAWA)です。YouTube発の子ども向け発音教材ですが、リスニング力の基礎となる正しい発音を学びたい人は、中高生でも大人でも初めにやるべき教材だと思っています。
「はじめに」を読んでみる
――自分に合う学習参考書を探すコツはありますか。
まずは書店へ行って実物を手に取り、中を見ることです。もう一つ、これは毎度お話ししていることですが、学習参考書の冒頭にある「はじめに」とか、「この本の使い方」といったページを読んでみることをおすすめします。そういったページを読むと、その学習参考書の使い方だけでなく、この先生はちょっと理屈っぽいなとか、テンション高めだな、といった著者の人柄とかキャラクターもわかるんです。
あとは触ってみたときの紙の質感とか色の使い方とかが自分の好みに合うかも重要ですし、自分がその学習参考書をどのように使うかも想定して選ぶことです。例えば、たくさん書き込んで使いたい人は、余白の分量もチェックしたほうがいいですね。

――最後に受験生にメッセージをお願いします。
アイザック・ニュートンは、先人が積み重ねた業績や知識を利用し、さらに発展させていくことを「巨人の肩に乗る」と表現しました。学習参考書は、職人のような技を持つ編集者のみなさんの英知が集結された、まさに巨人の肩のようなものです。中高生の皆さんには、どんどんその上に乗って、学びを深めてほしいと思います。『ガクサン』でも学習参考書の活用法をたくさん紹介しているので、日々の勉強に役立ててもらえたらうれしいです。

<プロフィル>
佐原実波(さはら・みは)/マンガ家。神奈川県出身。2021年から、講談社の青年マンガ誌「モーニング」で、学習参考書をテーマにしたコメディ『ガクサン』を連載開始。2022年からは同社のマンガ配信サイト「コミックDAYS」で連載中。
(文=木下昌子、マンガ=佐原実波『ガクサン』〈講談社〉から)
【写真】学習参考書マンガ『ガクサン』作者が教える、自分に合った参考書選び
あわせて読む
記事のご感想
記事を気に入った方は
「いいね!」をお願いします
今後の記事の品質アップのため、人気のテーマを集計しています。
関連記事
注目コンテンツ
-
社会を生き抜く力を育てる東洋大学の「総合知」教育――学生が自ら選択し、学びの道筋を立てる
1887年に哲学者・井上円了(いのうえ・えんりょう)博士が創立し、2027年に創立140周年を迎える東洋大学。哲学を...
2026/02/05
PR
-
「答えのない問い」に挑む――龍谷大学経営学部商学科の実践教育「プロジェクト入門」で学生たちがマーケットを開催
2025年11月20日、27日、龍谷大学深草キャンパスで、経営学部商学科1年生が企画・運営する「秋彩マーケット」が開...
2026/01/30
PR
-
アスリートや高齢者を支援する「アスレティックトレーナー(AT)」を養成し、健康社会へ貢献する法政大学スポーツ健康学部
「スポーツ健康学」の教育・研究を通じて、健康の維持・増進やスポーツの発展、公共の福祉への貢献を目指す法政大学スポーツ...
2026/01/23
PR
お悩み
-
現代を生きる私たちと『学問のすゝめ』櫻井翔さん × 伊藤公平(慶應義塾長) 【後編】
『学問のすゝめ』刊行150周年を記念して、慶應義塾長の伊藤公平が、スペシャルゲストと対談を行いました。予測困難な現代...
2023/05/15
-
「反抗期の息子、進路の話ができない…」 受験生の親ができることは?
子どもが高校生になると、大学で何を学びたいのか、将来どんな方向を目指すのか、親としては進路が気になります。しかし、多...
2023/05/15
-
【ランキング】進路選択で悩む高校生 だれに相談してる?「保護者にやめてほしいこと」1位は?
■ランキングまるわかり 高校生は大学進学など卒業後の進路を考えるにあたって、保護者にどのような関わり方を期待している...
2024/09/13
学部・学科・研究室
-
工学部で学び、電動車いすを開発 医学部以外にも広がる医療貢献への道
■特集:広がる医療系学部 医療系の道に進むには、医学部だけではなく、さまざまな分野から関わることができます。その一つ...
2025/12/07
-
-
-
京都産業大学
【卒業生紹介】『このミス』大賞で大賞受賞!犬丸幸平さんインタビュー
京都産業大学の卒業生で、第24回『このミステリーがすごい!』大賞にて 大賞を受賞し、作家デビューした犬丸幸平さんのス...
2026/01/16
-
【桜美林大学】元お天気お姉さんが先生?パイロットや管制官を目指す大学に潜入
桜美林大学のHPはこちら↓ https://www.obirin.ac.jp/academics/aviation_...
2023/06/26
-
おすすめ動画
大学発信の動画を紹介します。
大学一覧
NEWS
教育最新ニュース
- 九州大のトップに赤司氏が内定 白血病を研究、医学部出身は3人連続 2026年 02月 19日
- 息子の位置情報はカンボジアで途切れた 犯罪と関連?安否を案じる母 2026年 02月 18日
- キッコーマンのパートナーは東京外大 言語学で「おいしさ」引き出す 2026年 02月 18日
- グラウンドで2年前から無断運転、学校把握せず 遺族側「強い疑問」 2026年 02月 18日
- パブリックに生きた知の巨人 宇宙論の第一人者・佐藤文隆さんを悼む 2026年 02月 17日
Powered by 朝日新聞

